2026年9月30日

こんにちは、井上歯科医院です。
歯周病と糖尿病は密接に関わっているのをご存じでしょうか。糖尿病と口の中の病気である歯周病は一見、関わり合いが無いように思われるかもしれませんが、実は相互に悪影響を及ぼします。歯周病は糖尿病の悪化を招き、糖尿病は歯周病を悪化させることが分かっています。
今回は、歯周病と糖尿病の関係を詳しくお伝えします。糖尿病の方はぜひ参考にしてくださいね。
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のブドウ糖が健康な状態よりも増え、血糖値が増加する病気です。本来は、食事から摂取したブドウ糖は、血流に乗って細胞に運ばれ、インスリンというホルモンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギーの元になります。しかし、糖尿病になるとインスリンが充分に働かず、血糖が細胞に取り込まれず血液に血糖が溢れるようになります。これが血糖値が上昇する原因です。糖尿病には1型と2型があり、どちらもインスリンの働きが不十分なことにより引き起こされます。

糖尿病の初期は、自覚症状がほとんどなく、進行するとこちらのような症状が見られます。
・喉が渇く
・尿が増える
・疲れやすい
・体重が減る
・神経障害や網膜症、腎障害などの合併症が見られる
以上のような症状が頻繁に見られる方は、糖尿病の検査や健診を受けることをおすすめします。
1型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンを分泌している膵臓のβ細胞の機能が低下し、インスリンが十分に作られなくなることによって起こります。自己免疫疾患のことが多く、若年層にも発症します。インスリンが作られないため、慢性的にインスリンが不足し、毎日のインスリン注射でインスリンを補う必要があります。
2型糖尿病
糖尿病患者の95%以上が2型糖尿病です。2型糖尿病は、遺伝的な体質や食べ過ぎ・運動不足などの生活習慣、肥満、ストレスなどが原因で、インスリンの分泌が減ったり、働きが悪くなることが原因で発症します。インスリンは十分に分泌されているけれども、筋肉や肝臓などの臓器にうまく取り込まれない状態になるインスリン抵抗性がみられることもあります。治療としては、食事療法や運動療法が基本で、必要に応じて薬を服用します。
糖尿病の診断

糖尿病は、初期症状が出にくく、進行した場合や、健診で偶然見つかることが多いです。
こちらのいずれかに当てはまると、糖尿病と診断されます。
・早朝空腹時血糖値:126 mg/dL以上
・75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値:200 mg/dL以上
・随時血糖値:200 mg/dL以上
・HbA1c(ヘモグロビンA1c):6.5%以上
歯周病は糖尿病の合併症

歯周病にはたくさんの合併症があります。神経障害・網膜症・腎症が3大合併症と言われ、脳卒中と心筋梗塞の2大血管障害で5大合併症と言われています。そして、次に多い合併症が歯周病です。糖尿病の患者さんには歯周病が見られることが多く、歯周病の悪化を引き起こすことが分かっています。
糖尿病が歯周病の悪化を引き起こす理由

糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が慢性的に高くなる病気です。
では、なぜ糖尿病が歯周病の悪化をひきおこすのでしょうか。こちらのような理由が考えられます。
・糖尿病になると、免疫が低下するため
・高血糖になると炎症性サイトカインが放出され、慢性炎症である歯周病が治りにくくなるため
・高血糖になると脱水気味になり、口腔内乾燥を引き起こし歯周病が悪化するため
・口腔内に血管障害が起こり、血流が悪くなるため
高血糖になると、炎症性サイトカインの量が増えたり、血流が悪くなるため、歯周病が悪化しやすくなります。また、口腔内乾燥も歯周病が悪化する原因の1つなので、小まめに水分を摂取するようにしましょう。
歯周病も糖尿病に影響する?

最近の研究で、歯周病の治療をすると糖尿病の症状が改善することが分かっています。つまり、歯周病は糖尿病のリスク要因だと言えます。歯周病により炎症が起こると、炎症性サイトカインという炎症を引き起こす物質が体内で増加します。この炎症性サイトカインが、インスリンの働きを妨げることによって、インスリンの働きが十分に発揮できず、血糖値が高くなります。これをインスリン抵抗性と言い、血糖値が上がり糖尿病が悪化する原因です。
歯周病は、糖尿病を悪化させる原因になるので、予防・早期治療をすることが大切です。
歯周病治療をすると糖尿病は良くなる?

アメリカ糖尿病学会の研究で、歯周病治療により糖尿病が改善したという報告があります。
こちらの研究では、歯周病治療を行うことで、HbA1cという過去1~2ヶ月の平均血糖値が平均0.4%改善することが分かりました。HbA1cが5.6%未満が正常で、6.5%以上だと糖尿病と判断されるので、この0.4%の改善は非常に意味のあることだと思われます。歯周病治療をすることが糖尿病の治療にもつながるので、歯周病のケアはとても重要です。
まとめ
歯周病と糖尿病は密接に関わりあっており、悪化するとお互いに悪影響を引き起こします。そのため、糖尿病治療を考えた時に、歯周病のケアをすることはとても有意義なことで、歯周病の予防・早期治療が重要です。歯周病は毎日の丁寧な歯磨きで予防することができますが、悪化するとご自身での歯磨きのみでは完治できません。歯科医院では、専用の機械で日頃の歯磨きでは落としきれない汚れや歯石を取り除きます。また、定期検診では歯周病のチェックも行っているので、糖尿病の方は3ヶ月に一度はぜひお越しください。