親知らずの抜歯
親知らずの抜歯

親知らずの抜歯は、歯科治療の中でも難易度が高い処置のひとつです。特に、歯が骨の中に深く埋まっている場合や、神経や血管の近くに位置している場合は、正確な診断と高い技術が求められます。そのため、一般歯科では対応が難しく、大学病院を紹介されることも珍しくありません。
当院では、日本歯科大学附属病院の歯科口腔外科で培った経験をもとに、これまで数多くの親知らず抜歯を手がけてまいりました。難症例であっても、可能な限り院内で対応できる体制を整えています。事前にレントゲン撮影などを行い、歯の位置や神経との距離を精密に把握したうえで、安全性と確実性を重視した手術を行います。
また、抜歯に伴う「痛み」や「腫れ」への配慮も徹底しています。必要に応じて笑気麻酔や術後の腫れを抑える処置を行い、できるだけ快適にお過ごしいただけるよう心がけています。さらに、体質や部位によっては抜歯後に内出血や青あざが出ることがありますが、これは時間の経過とともに自然に消えていくもので、心配はいりません。
「他院で難しいと言われた」「抜歯が不安」という方も、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富な歯科医師が、丁寧な説明と確かな技術で、安心・安全な親知らずの抜歯をご提供いたします。
「親知らず」は、顎(あご)の一番奥に生える歯で、永久歯のなかで最後に発育します。正式には第3大臼歯(だいさんだいきゅうし)といいますが、成人になって知恵がついて生えることから「智歯(ちし)」とも呼ばれています。また、親の手を離れ、親の知らぬ間に生えてくることが名前の由来といわれています。
「親知らず」には個人差があります。はじめからない方や上下左右の4本が揃っていない方、また、まっすぐに生えてくるとは限らず、横や斜めに生えたり、埋まったままだったりします。他の歯と同じように正常に生え、しっかりかみ合っている場合はとくに問題はありませんが、悪影響をもたらすような生え方の場合は、抜歯を検討する必要があります。
「親知らず」の痛みは、生えてくるときに歯肉が他の歯によって傷つけられたり、細菌に感染し炎症を起こしたりすることによって生じます。
「親知らず」は歯肉が部分的に被ることで不潔になり、炎症が起こりやすくなります。この歯肉の炎症を智歯周囲炎(ちししゅういえん)といい、20歳前後の方によく見られる症状です。口が開けられなくなったり、痛みとともに熱が出たりすることもあります。「親知らず」が仕事や勉強の追い込み時に痛むことが多いのは、疲れやストレスなどで身体の抵抗力が落ちたときに炎症が起こりやすいためです。
妊娠によるホルモンバランスの変化で、痛みが出ることもあります。そのため妊娠前の女性には必要であれば「親知らず」の抜歯をおすすめしています。妊娠中の抜歯は、検査や治療で使用するレントゲンや痛み止め、抗生物質などが、おなかの赤ちゃんに悪い影響を与える可能性があるからです。
横向きや斜めに生えている場合、一生懸命磨いても歯ブラシがうまく当たらずに、「親知らず」や手前の歯がむし歯になる可能性が高くなります。
「親知らず」に被っている歯肉が智歯周囲炎を起こします。これが口臭の原因にもなります。また、「親知らず」の周りに汚れがたまることで、手前の歯ぐきも歯肉炎にかかりやすくなります。
上顎の「親知らず」が生えてくると下顎の歯ぐきを噛んでしまい、炎症や腫れの原因となります。
横向きや斜めになっている「親知らず」が手前の歯を強く押すことで、歯並びやかみ合わせが悪くなる場合があります。
「親知らず」によってかみ合わせが悪くなると、咀嚼時に左右の顎がバランス良く使われないため、片方の顎に負担がかかり、顎関節症を引き起してしまうことがあります。
抜歯がすすめられるケースには、主に以下のようなものがあります。
以下は、必ずしも抜歯をしなくて良いケースです。
「親知らずの抜歯」は、詳しい診察が必要となります。お悩みの際はお気軽に受診ください。
「親知らず」の抜歯を行う際に重要なことは、状態を正確に把握するということです。抜歯時に神経に触れたり、太い血管を傷つけたりしないために、「親知らず」の周囲の確認が必須となります。歯科用レントゲンなどを活用することで、「親知らず」の位置を正確に把握でき、神経や血管の位置を考慮しながら治療を進めることが可能です。埋まっている「親知らず」でも、必要以上に歯ぐきを切開したり、顎の骨を削ったりせずに抜歯ができます。
抜歯は、麻酔を十分効かせて行いますので、抜歯中に痛みを感じることはほとんどありません。まず、表面麻酔を使用してから注射の麻酔を行います。万一、抜歯中に痛みがある場合は、麻酔を追加し痛みがない状態にします。痛みがあるうちは抜歯をしませんのでご安心ください。
カウンセリング
病歴・持病、ご要望、歯の状態を確認させていただき、治療の流れなどを説明いたします。
神経や血管の位置を確認
まずは神経や血管の位置と親知らずの位置関係を歯科用レントゲンなどで確認します。事前に「親知らず」の状態を詳細に把握することで、安全性を十分確保して抜歯を行います。
抜歯準備
炎症が起きている場合は麻酔が効きにくいため、抗生物質を服用していただき炎症を抑えます。また、細菌を減らす目的で、口内を掃除します。
表面麻酔と注射麻酔で痛みを抑える
表面麻酔を行い注射の痛みを軽減させたのちに、注射麻酔を行います。これにより麻酔の痛みを最小限に抑えます。「親知らず」に歯ぐきが被っている場合、歯ぐきを切開して「親知らず」の頭を出します。
「親知らず」を抜歯する
歯と歯槽骨(しそうこつ)の間には歯根膜(しこんまく)と呼ばれるクッションのような膜があり、そこから、専用の器具を使用して「親知らず」を取ります(抜歯)。横向きや斜めに生えている「親知らず」は、いくつかに分割して取り除く場合もあります。奥に埋まっている場合は、周囲の骨を調整することもあります。
抗生剤と止血剤を填入して縫合
抜いてできた穴の部分が、早く塞がるようにかさぶたの形成を促します。穴は抗生剤と止血剤を填入して縫合します。また、ガーゼを強く噛んでいただくことで圧迫止血を行います。
翌日の消毒
抜歯の翌日は、出血・傷口などの確認と消毒を行います。状態によって薬を調整します。
1週間後に抜糸
抜歯後1週間ほど経過すると傷口が塞がってきますので、確認して問題がなければ抜糸をします。その後、3~4週間で傷口は完全に塞がり、骨は3~6カ月程度で回復します。
※この期間には個人差があります。
保険診療内での処置が可能です。親知らずの生え方により術式が異なるため窓口負担額が異なります。
術後2~3日は腫れや痛みがあります。また、かさぶたになるまでは出血しやすい状態になります。アルコールや運動、長時間の入浴など血行が良くなるようなことは避け、安静にしましょう。血が止まらない場合は、清潔なガーゼやティシュなどを丸めて穴の上に置き、しっかり噛むことで圧迫止血をします。抜歯当日は少量の血が付着する程度は正常です。
抜いた穴の中にできるゼリー状のかさぶたを、口に水を含み転がすなどして洗い流さないようにしてください。かさぶたを汚物と思って剥がしてしまうと、治癒期間が延びたり、傷口が細菌に感染したりすることがあります。
下顎の「親知らず」を抜いた時に起こりやすいのが「腫れ」です。この腫れを少なくするのは軽く冷やすことで効果があります。
かさぶたが綺麗に出来なかったり剥がれたりした場合は、抜いた穴がなかなか塞がらず、骨の一部分が外から見えることがあります。この状態をドライソケット(治癒不全)といい、痛み止めを飲まないと耐えられない痛みが、1週間以上続くことがあります。目安として2週間経過しても痛みの状態が改善されなければドライソケットの可能性が高いので、受診してください。
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